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セデック・バレ 第二部 虹の橋のatyのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

一部よりも更に戦いが激化し、まさに血で血を洗う戦いに(セデック族側が強すぎるけど)。セデック族の力をみくびる鎌田弥彦が逆ギレするシーンに、日本軍の驕りが出ている。色んな戦争ものを見ると、敵を見くびった側は常に脚を掬われている。さすがの鎌田さんも最後には催涙ガスを導入して鎮圧に成功するが、「我々が文明を与えたのに、我々を野蛮に戻すのか」というセリフが印象的。自然vs文明、部族vs国家、個人vsシステムなど、常に後者が上だと思っている人にしか出ない台詞。

美しい装身具や住宅(もちろん部族の人々も)が次々と壊されていくのはすごく悲しい。彼ら(当時の日本軍)にとっては、セデック族の部落は征服する対象でしかない。戦争は文明を殺してしまう。

集団自決するシーンが衝撃すぎた。妻に向かって「結婚した当初と変わらず綺麗だ」と言ってすぐに首を切り、息子をしめ殺し、かつ切腹自殺するなんて、勇気があるなんてもんじゃない。捕まったり殺されたりするくらいなら、自ら死を選ぶ誇り高き民族。

最後「部族長 莫那魯道の骨が4年後に見つかるが、20数年後までまた姿を消した。」という歴史がサラッと綴られているけれど、どういうこと?もし本当なら、イエスとか仏陀とかと同じレベルの人だったんじゃないかと思ってしまう。いつか彼の骨を拝みたいものだ。
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