てつこてつ

フランスの思い出のてつこてつのレビュー・感想・評価

フランスの思い出(1987年製作の映画)
4.2
自分が多感だった青春時代に劇場で観て心に刺さった作品を再鑑賞。

単館上映の公開時以来なんで、本当に久しぶり。まさかゲオでレンタルDVDがあるとは知らなかったので感激もひとしお。

残念ながら4:3の画角であったけれど、作品の質は高く、やっぱりイイ作品だなあとしみじみ感じた。

小学校低学年かと思われる少年が、たった一人田舎の村で夏のバカンスを過ごすことになる。預けられたのは母の女友達の家。その家には、女友達の恋人と思われる酒好きで一見だらしない男が出入りしている。
内気な少年がすぐに仲良くなったのは、同じ年頃のご近所の少女。おませで好奇心旺盛な彼女は、あっけらかんと性への興味、女性の生理現象など語るが、少年には未知の事ばかり・・

何と言っても、主人公の少年とご近所の少女の二人の子役の演技がいい。達者過ぎない、等身大の少年少女像がすっごくリアルで実に微笑ましい。
それでいながら、この年頃は、確かに女の子のほうがずっと大人びるものではあるが、少女の発言が、淋病、溺死体の様子など、ちょっと大人が聞いても驚く内容で、少年を連れて、ある現場を目撃させるシーンや、比較的冒頭にウサギの目玉をくり抜き、皮を剥ぐシーンの生々しい描写を持ってくるあたり、やはりフランス映画だなあ。

無口でありながらも少年を思いやる酒好きのリシャール・ボーランジェの演技が渋い。

少年の両親の関係、母の女友達とリシャール・ボーランジェ演じる恋人が抱える問題など、大人の複雑な事情も作品に落とし込みながらも、作品全体としては少年の目線でしっかり描かれているのも好感。

同じくらいの時期に日比谷シャンテで公開されていたラッセ・ハルストレム監督のスウェーデン時代の出世作で、自分も大好きだった「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」にクライマックスとか、テイストが凄く似ている。こちらの作品も、是非、再鑑賞したいのだが、レンタルで見つからないのが悲しい。

ところで、あのウサギは本当に無事に助かったの??
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