まちゃん

俺たちに明日はないのまちゃんのレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
3.8
1930年代のアメリカ、ウエイトレスとして働くボニーは退屈な日々を過ごしていた。そんなある日、クライドという男に出会う。洒落者だが危険な香りのする男。実はクライドは刑務所から出所したての犯罪者だった。しかし、ボニーはクライドの生き方に退屈な日常からの脱出を夢見る。二人は車を盗み、町を飛び出す。危険な旅の始まりだった…。冒頭は意外と明るい雰囲気に始まる。車に乗り込み町を飛び出す時の軽やかなバンジョーの音。それは彼らの旅が軽い気持ちの冒険として始まった事を象徴している。仲間も増えて銀行強盗を繰り返すバロウ・ギャング。強盗シーンもユーモアのある描写で彼らがロビン・フッド的な庶民のヒーローになった事をイメージさせる。しかし、逃走時に追い縋る人を射殺した所から雰囲気が変わっていく。凶悪犯罪者として追いまくられる日々。常に命の危険を感じて気の休まる瞬間が無い。殺人への抵抗感も下がる。荒涼とした田舎町は彼らの心象風景を表す様だ。確実に近づく破滅の足音。そして映画史に残る衝撃的なラスト。アメリカン・ニューシネマの嚆矢となり、映画史の流れを変えた事も納得のシーンだった。
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