火・水・土・風4つのエレメントが住む、エレメント・シティ。火のエレメント、エンバーは移民2世の女性。父親の雑貨店で働き、後継ぎを期待されている。ひょんな事から知り合った青年、ウェイド。最初はチグハグな2人だったがやがて惹かれ合う。しかし、ウェイドは火とは対極の水のエレメント。果たして2人の運命は…。元素（エレメント）を擬人化する。発想だけは出来るかもしれない。しかし、テーマ性を持った一本の映画にする事は並大抵の事ではない。実現させたピクサーの先進性と技術に凄みを感じた。火のエレメントのエンバーと水のエレメントのウェイド。誰もが想像出来る通り、「ロミオとジュリエット」的な定番のラブ・ストーリーだ。しかし、設定を活かした表現が新しさを感じさせる。火のエレメントは水を浴びると消えてしまい、水のエレメントは火に近づくと蒸発してしまう。2人の立場の難しさが子供にも伝わる美しいビジュアルで表現される。ビジュアルとアイデアの素晴らしさは作品の隅々まで及んでおり、エレメント・シティを観るだけで楽しい。特性の活かしたストーリーも感嘆ものだった。難しいテーマを楽しく見せる文句無しの傑作。
