まちゃん

窓ぎわのトットちゃんのまちゃんのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.0
「さあ、何でも話してごらん。話したいこと全部」好奇心のままに自由に動くトットちゃん。規律が守れない為に小学校では問題児として扱われてきた。無邪気な姿を見せているが小さな心に傷があったのは「どうしてみんな、わたしの事を困った子って言うの?」という言葉で明らかだ。小林先生の答えた「君は本当はいい子なんだよ」は初めて大人に受け入れられ肯定された瞬間だったのではないか。一人一人の子供の個性を受け入れる。現在の教育でも見失なわれがちな部分だ。それを80年前に重視していたトモエ学園の先進性に驚く。個性を肯定された子供達がどれだけ生き生きとするのかはトットちゃんをはじめとしたトモエ学園の子供達の姿に良く現れていた。そんな中で一人引っ込み思案な子、泰明ちゃん。小児麻痺を患う彼の世界がトットちゃんとの出会いによって広がっていく様子は子供の可能性の大きさを表している。作品全体としては色彩の豊かさに目を見張る。華やかな色彩が戦争が進むに連れて褪せていく。アニメーションならではの感情表現は見事だった。特にトットちゃんと泰明ちゃんの雨のシーンは美しくも複雑な思いを感じさせる名シーン。傑作。
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