まちゃん

デューン 砂の惑星PART2のまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

確実にSF映画の歴史に残ると確信させるクラシックの風格がある。PART1と同様に確立された世界観には目を見張る。アトレイデス家、砂漠の民フレメン、ハルコンネン家、皇帝と領主会議の関係性。全ての背後で密かに動くベネ・ゲソリット。それぞれに歴史の積み重なりがあり、生きた文化の存在を感じさせる。この異世界に入り込む感覚はSF独自の喜びだ。今回、物語は大きく動き出す。ポールが惑星アラキスの英雄になっていくのだ。全てを失った主人公が復讐を果たし、英雄となっていく。古典的な叙事詩であり、フレメンの間で語り継がれた救世主リサン・アル・ガイブの伝説と相待って神話を思い起こさせる。イエス・キリストやブッダが人間から神性を帯びた存在に変わっていく過程。時を経て絶対的な宗教存在になる前の歴史的事実としての神の誕生を目撃している気分になった。ここで重要なのがフレメンの女性であり、ポールの恋人でもあるチャニの存在だ。数々の戦闘、試練を乗り越えて英雄となるポール。人々は熱狂し、崇拝する。その姿を見つめるチャニの寂しさと悲しさが入り混じった複雑な表情。これは英雄が失った重要なものを表している。大傑作。
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