まちゃん

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のまちゃんのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.0
昭和31年、血液銀行に勤める水木は担当する龍賀製薬の創業者、龍賀時貞の弔問の為に龍賀一族の暮らす哭倉村を訪れる。一族は時貞の遺産を巡って骨肉の争いをしていた。そんな中で一族の一人が惨殺される事件が起こる。容疑者として捕まった怪しい男、ゲゲ郎。龍賀一族の支配する孤絶した村で水木とゲゲ郎は陰惨な事件に巻き込まれていく…。「ゲゲゲ鬼太郎」第6シリーズを期待して観に来た人は驚くかもしれない。何しろ鬼太郎が殆ど出て来ないのだ。タイトル通り、鬼太郎誕生以前の父親の世代の物語だ。古くからの因習が残る村で起こる連続殺人。この設定自体は「名探偵コナン」などでもあるが陰鬱で重苦しい空気感が従来のアニメの域では無い。「犬神家の一族」の横溝正史を思い出した。一方でこの作品は水木とゲゲ郎のバディムービーでもあり、2人の関係性は観る者にとってある種の救いとなっている。「ゲゲゲの鬼太郎」の妖異の要素とミステリーの謎解きの融合は巧みで引き込まれる。またアクション演出もダイナミックでスピーディーに表現されている。物語の結末が鬼太郎誕生と結びつくラスト。ファンなら感心する事間違いなし。予想以上の傑作だった。
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