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俺たちに明日はないのSUIのレビュー・感想・評価

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)
4.0
スタイリッシュとはほど遠い、まだ泥臭い頃のアメリカ映画。
ボニー役のフェイ・ダナウェイはキュートだし、クライド役のウォーレン・ベイティーはハンサム。

恐慌時代に銀行強盗をしながら旅を続けるボニー達バロウズギャングは、刹那的、享楽的に犯行を続けるが、基本的には悪人ではない。恐慌という時代背景が彼らのような怪物を産んだのだ。
そうしなければ生きていけない。好きでこんなことをしているわけではない。「夜が明けたら全て水になっていたらどうしたい?」というクライマックス前にボニーが言った、そのたった一言でそれら全て表していた。
本来なら陰気で悲壮感が漂いそうな物語なのに、ボニーとクライドを含めた陽気で呑気な登場人物と、のどかな音楽のお陰で終始コミカルタッチ。
インポテンツのクライドというのも、哀しくもあり微笑ましくもあり、彼らの人間臭さがいい意味で表現されていた。

ラストの展開としては“これしかない”という意外性のないの締めだったけど、「死のバレエ」と呼ばれる壮絶な最期はそれを補って余りあるほどの衝撃だった。
なんせ、ラスト10分の演出やら展開は本当に秀逸。
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