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アルキメデスの大戦のSUIのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
3.5
主人公の天才数学者の櫂(菅田将暉)が、数学で戦艦大和の製造を阻止しようという発想は面白いし、ストーリーも悪くない。物語に引きこまれることは間違いなんだけど…。

部品や備品や武器なんかの単価も、造船に係る人工も必要な工期もわからない素人が、わずかな期間で大和造船にかかる見積りを作るというのはどう考えても不可能。

更には、本を読んだだけで平面図と断面図まで書き上げ、あまつさえ正式な大和計画の設計ミスまで指摘する始末。
これはさすがにその道のプロをバカにしていると言わざるを得ない。

与えられた期間は2週間だよ?
その間に大阪まで行って、帰って来て、ついでに期日を2日も早められてるんだよ?
こんなの天才通り越して神様じゃん。
天才なら何やってもいいのか!

「大和ができてもできなくても関東軍の暴走で確実に戦争になる。日本国民がそれを望む。そして必ず負ける。負けた時、国民に納得させるために、日本国を投影させた沈むはずのない戦艦を沈める必要がある。その時初めて日本国民は敗戦を受け入れる――。だから私はこの戦艦を大和と名付ける」
という平山造船中将(田中泯)は、結果を知ってる未来人である我々の後付けの屁理屈だよなと思う反面、なるほどと納得させらる説得力が確かにある。
山本五十六少将役の舘ひろしや、敵対する嶋田繁太郎少将の橋爪功なんかの滑舌が怪しい中、平山城造船中将 田中泯の静かな演技は凄みがあってよかった。
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