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のぼうの城のSUIのレビュー・感想・評価

のぼうの城(2012年製作の映画)
4.5
時は戦国、豊臣秀吉全国統一最後の勢力、小田原北条氏攻略時の物語。

まず、柴咲和泉守(ぐっさん)の強さを表現するための戦国無双みたいな戦闘シーンや、無駄に迫力がありすぎる水責め濁流CGなんかの、マンガ的で幼稚な演出が鼻についた。
けど、豊臣方 長束正家(平岳大)の尊大な態度に憤って北条方 成田長親(野村萬斎)が戦を覚悟するシーンや、たへぇ(前田吟)が長親のために立ち上がるシーンはかなり胸熱。

昼行燈とはちょっと違うけど、普段ひょうげているのに腹を括る時は率先して腹を括る。
武芸も知略も持たないが人並み外れた人望を持つ長親。その人間味溢れる魅力的なキャラクターを演じきった野村萬斎の功績は大きい。
能力は高いのに人望の薄い石田三成(上地雄介)と対比した人柄を表す役にこれほどマッチした人選はない。

脇を固める佐藤浩一や山田孝之はもちろんだけど、ただのおバカタレントだと思っていた上地雄輔の芝居がなかなかよかったのが、いい意味での誤算。
それなのに、あれは本当に人間か?とまで言われるほど絶世の美女という設定の甲斐姫の榮倉奈々がどうにもミスマッチに思えてしまう。
見た目的な問題は個人の趣味嗜好が大きく反映するから目を瞑るとしても、いかんせん役者としての実力(=魅力)が全く伴っていない。
西村雅彦や市川正親、尾野真千子や芦田愛菜などなど、ちょい役ですら実力派揃いなだけに、なぜそこだけ配役を間違えてしまったのか…。

前述の幼稚な演出と、お遊戯的お姫様キャストがなければ満点だった。
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