yukihiro084

ジャーヘッドのyukihiro084のレビュー・感想・評価

ジャーヘッド(2005年製作の映画)
3.8
土曜日。息子も妻も寝ている。
シメシメとNetflixの映画を観始めると、
息子が起きてくる。ちっ。
『お父さん、スマブラやろうよ。』と
目を擦りながら言う。慣れた手つきで
ゲーム機とテレビを繋ぎ、さっきまで
(ハングオーバー)が映っていた画面が
変わっている。

その日は夜から(別に僕が行かなくて
良かったと思う)PTAの集まりに顔を
出さなきゃいけない。有意義に本当に
有意義に朝の時間を使いたかったが
僕は息子をトイレと洗面所に連れてゆく。

遅い朝食を食べて、また映画を
観始めたら、『お父さん、鬼滅の刃の
本を買いに行こうよ。』と息子が言う。
そーいや約束したな、と思い出し、
自転車で穴場の本屋に行く。

PTAの集まりから帰ると、
まだ起きていた息子が
『お父さん、一緒にお風呂入ろうよ。』
と言う。待っていたらしい。
録画してあった観たい映画があったが、
一緒にお風呂に入る。
(卒業する6年生に贈る言葉)を言う担当に
なったらしく、自分のパートの台詞を、
一緒に練習しようと息子が言う。
全裸フルチンの親子が大きな声を出し合う。
今度こそ、と思い、リモコンを手に
していると、『お父さん、一緒に
寝ようよ。』と息子は言う。
どうせお前、すぐ寝ないだろ、と言う。
気付けば僕もそのまま寝ていた。ちっ。

日曜日。昼過ぎからマンションの
理事会があるので貴重な朝を使おうと
早く起きて、昨日観られなかった映画を
観始める。すると今度は妻と息子2人が
起きてくる。妻は高校の友達とランチの
ため、息子の服や冷蔵庫にあるものや
昨日のPTAの懇親会のことを聞いてきた
り、速射砲のように話しかけてくる。
息子は息子でテレビ画面を見ると、
(マリオカート)に変わっていた。
リモコンを持たされる。

なので、結局週末は(記者たち)を
最後まで観ることは出来なかった。
(バイス)を観た後なので、
すぐに観たかったが、仕方ない。

映画を観るって大変だ。
ハリウッドの映画関係者に
貴方たちを支えているのは
こんな映画ファンなんですよ、と
教えてやりたい。
それでも(バイス)や
少しだけ観た(記者たち)のことを
考えていたら、いくつかの作品が
頭に浮かんだ。
(アメリカン・スナイパー)と
(マイ・ブラザー)と
(ハート・ロッカー)と
(ジャーヘッド)
全く異なるストーリーなのに、
全ての主人公は似たように壊れてゆく。

(ジャーヘッド)は異色作だ。
サム・メンデス監督、
ロジャー・ディーキンス撮影。
(スカイフォール)(1917)の
コンビ作だ。
主演はジェイク・ギレンホール。
カメレオン俳優の彼。
みんなのジェイクはどのジェイク?
遠い空の向こうにのジェイク?
ブロークバック・マウンテン ?
僕はドニー・ダーコ。
ドニー・ダーコの不気味なジェイク。

ジャーヘッドは異色作だ。
しつこく言う。
なんせ戦争映画なのに戦わない。
殺人兵器に作り替えられ、
戦地の砂漠に放り出された兵士たち。
なのに、一向に戦闘が始まらない。

そもそも敵はいたんだろうか?
湾岸戦争だって、アフガン侵攻だって、
イラク戦争だって、敵なんていたん
だろうか?
今、始めなきゃいけない戦争なんて
あるんだろうか?

映画(記者たち)の中に確か
こんな台詞があった。
『フセインは俗人で、ビンラディンは
原理主義者だ。一緒になる訳がない。』
『どこでもいい。戦争が必要なんだ。』

湾岸戦争だって、アフガン侵攻だって
イラク戦争だって、戦地の兵士たちは
なぜ戦っているのか、わかっていたん
だろうか?

何もない場所で戦えない兵士たち。

戦争の無意味さ。
戦争のくだらなさ。
戦争を始めた上層部の無能さ。
戦っても戦わなくても
壊れてゆく、人の心。

そりゃないよ。

頭の良さそうな奴らが、
いつも、頭の悪いことをする。
yukihiro084

yukihiro084