でしょうかな

チャプター27のでしょうかなのレビュー・感想・評価

チャプター27(2007年製作の映画)
3.3
1980年12月、ニューヨークの街に眼鏡をかけた小太りの青年がいた。携えるのは『ライ麦畑でつかまえて』のペーパーバックと38口径の拳銃、狙うは元ビートルズのジョン・レノン。マンハッタンでの3日間、伝説になろうとした男の物語。

去年最後に観た映画。
ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンのノンフィクションを映画化したサスペンス。その死から40年を迎えた今もジョン・レノンの名は忘れられていない。だからか、本作は彼についてほとんど語らない。まともに映る場面すらほぼ無い。あくまでチャップマンが主役だ。
本作において事件の重要なファクターとして描かれるのが、チャップマンが心酔し、犯行動機の一つとして挙げた『ライ麦畑でつかまえて』である。この映画のタイトルは、自分の犯行が、26章から成る『ライ麦畑』の続きというチャップマンの発言に基づいており、そして彼の独白によって進む映画のスタイルも『ライ麦畑』を踏襲している。この演出は、チャップマンを演じるジャレッド・レトの怪演と相まって、チャップマンの犯行を一人称視点から理解する手助けになるかもしれない。
ただ、全体的には不親切な映画だと思う。原作の内容を全てやるのは不可能だろうが、事件に至る3日間だけ、それも上映時間85分では、犯人の内面を掘り下げるどころか事件概要の把握すらも難しい。しかも、回りくどい言い回しが多用されているのが分かりにくさに拍車をかける。
原作のノンフィクションを読んで事件の詳細をあらかじめ知っていたため個人的には嫌いではないが、単体のサスペンス及び伝記映画としてはあまりオススメしない。
でしょうかな

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