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ライフ・オブ・デビッド・ゲイルのdeenityのレビュー・感想・評価

4.1
ケヴィン・スペイシーのどんでん返し物って『ユージュアル・サスペクツ』だけではなかったとは知りませんでした。
ただ、どんでん返し系には違いないかもしれませんが、種類が若干違いますね。本作は大オチで見る者に「やられたー!」という爽快感を与えるタイプではなくて、衝撃は与えるのだけれど何とも言えない余韻が残るタイプのどんでん返しですかね。何ならオチ自体は何となく読めてはいたのですが、それでも残るこの余韻はただのどんでん返し系映画だからというわけではないのだと思います。

本作はケヴィン・スペイシーはデビット・ゲイルという死刑囚を演じていて、数日後にはまもなく死刑を受けることが確定されている。そんな彼がケイト・ウィンスレット演じるヴィツィーに自分の生きた形跡を残してほしいと語り始める。
事件のことはもちろん、大学教授の頃のこと、死刑撤廃デモを行っていたこと、家族のこと、過ちのこと…etc。とにかく今の状況に至るまでのことを語っていく。
その中で、彼の人柄を知ると共に、誰かにハメられたのではという疑問が生じ始める。

まあ作品の性質的に多くは語らないようにしますが、やはりあの余韻は日本でも問題になる死刑存廃問題について考えさせられるからですかね。
賛否両論ありますしそれぞれの言わんとする趣旨もわかりますが、本作において一番大きな論点となるのは、「死刑を下すのは人間である」という点でしょうね。
これが全てではないですが、本作を見ると間違いなく考えさせられると思います。

それにしてもケヴィン・スペイシーはさすがの演技力ですが、大オチ系にはこの人有りと言った感じですね。
あの作品では「足」で魅せましたが、本作は「目」でしたね。
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