アメリカ同時多発テロ、9.11の被害者である父トーマス(トム・ハンクス)に端を発したオスカーのジュブナイルでありながら、それを人知れず支える母リンダ(サンドラ・ブロック)の物語でもあった。
序盤でリンダに感情をぶつけるシーンや、間借り人に自分の話を早口でまくしたてるシーンは圧巻。
また、しゃべれない間借り人との関係はほのぼのとしていて、それでいて妙な信頼関係というか友情関係にも似た連帯感が印象的で良かった。
良かったんだけど、2人の関係にフォーカスしてしまったが故に、それまでの張り詰めた雰囲気やテーマが少しマイルドになってしまったのは痛し痒しといったところ。
物語のそれこそキーとなる鍵の謎は少し肩透かしではあったけど、WTCにいたのがお母さんだったらよかったのに、とまで言い放った母との氷解は、それを補って余りあるカタルシスがあった。