まちゃん

隠し砦の三悪人のまちゃんのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
3.9
敗残の国の姫、雪姫とその忠実な家臣、真壁六郎太。落ち延びてお家再興を図る為に財宝と共に敵中突破を図る…。黒澤明の初シネマスコープ作品で徹底的に娯楽性を追求した作品だ。横に広がった大画面を活かした構図が随所に見られて黒澤明自身が新しい画角を楽しんでいる事が伝わってくる。大画面でのアクションのダイナミックさ。画面の隅々の背景まで目が行き届いた黒澤の撮影テクニックの鋭さを改めて感じた。作品としては黒澤的なリアリズムというよりも伝統的な娯楽時代劇の類型を借りて観客を楽しませる事を目指した作品だと思う。あらすじを見てわかる通り、シンプルな設定でサスペンスを作り観客の手に汗を握らせる。上原三佐演じる気の強いじゃじゃ馬娘の雪姫は美しく、三船敏郎演じる忠義の侍、真壁六郎太は賢く強くまさにヒーローだ。人物的な深みは感じないがストーリーの中での役割を生き生きと演じていた。キャラクター的に面白いのはスターウォーズのC-3POとR2-D2のモデルになった太平と又七だろう。絶妙な掛け合いで笑わせながらも狡さやいやらしさを併せ持ち庶民の戯画になっている。肩肘張らずに楽しめる作品だと思う。
まちゃん

まちゃん