yukihiro084

ショーシャンクの空にのyukihiro084のレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
5.0
『これ、実際にあったコトなの?』と
妻がまた言った。

なぜ、そのポイントが大事なのか
よくわからないが、妻は23年間
そこを気にして聞いてくる。
こんなことなら、記録を残しておけば
良かったと思う。ナルニア国物語も
ロード・オブ・ザ・リングも
『これ、実際にあったコトなの?』と
言った。スター・ウォーズはギリギリで
{違うな)と思ったらしいから、
妻の、史実とフィクションの境界線は、
スター・ウォーズということになる。

広っ!!!!


今、見ると、また違うね。
再レビュー。

コロナがあって、戦争があった。
それは今も続いていて、
たくさんの死と、たくさんの悲劇を
目にしてきた。
頻繁に耳にする芸能人の死を
目の当たりにして、
最後に彼らの背中を押した何かの正体を
探ろうと思うけど、わかるはずもない。

人の心は石じゃない。

映画は、希望の大切さや、
心の豊かさを語る。
屋上のビールの冷たさ。
うっとりするほどの音楽の音色。
本でたくさんの図書室。
学ぶ喜び。教える喜び。

今作は刑務所が舞台じゃなくてもいい。
劣悪な家庭環境でも、犯罪の多い街でも
いい。別に刑務所がテーマではない。
提示されているのはもっと普遍的なテーマ。

どこにいても、どこで生まれても、
どんな罪を犯したとしても、
心の豊かさを忘れなければ生き直せる。

こんな時代だから、響くものがある。
打ちのめされそうな死や悲劇を
呆然している僕らに、届く言葉がある。

詩のようなレッドの言葉が美しいね。


妻は、(博士と彼女のセオリー)や
(ビューティフル・マインド)や
(ヒドュン・フィギュアズ)みたいな
『これ、実際にあったコトなの?』な
作品のことは聞いてこない。
『コレは聞いてこんのかーい!』と
いつも思う。

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最初のレビュー


希望はある。

1800万ドル。日本円でたった20億。
全米で公開された時の興行収入は、
目を覆いたくなるほどの惨敗だった。
ほとんどのアメリカ国民の記憶に
残っていなかったこの作品は
それでもアカデミー賞に7部門
ノミネートをされるが、
全米中でフォレスト・ガンプ旋風が
吹いていた。受賞はゼロに終わった。

このままヒットしなかった映画として
人々の記憶から忘れ去られる運命にあった。

希望はあった。

全米のケーブルテレビから火がつき、
その波は、レンタルビデオ店で一気に広がった。

(歴代最高の映画)ランキングで
ゴッドファーザーらと肩を並べ、
数ある名作を抑えて
ついに、歴代4位にまでなった。

この作品は、レッドの作品だと思う。
仮釈放申請の面談のシーンがいい。
犯した罪、消えることのない罪。
生き直すことについて静かに語られる。

まず、この作品は、言葉が素晴らしい。
それぞれのキャラクターから発せられる
セリフが素晴らしい。
哲学的で普遍性があり、力強い。

何故リタ・ヘイワースのポスター
だったのか?
聖書の開かれたページに記された
内容とは?
刑務所に流れた曲が何故
フィガロの結婚だったのか?

知れば知るほど、その奥深さに、
その緻密さに、唸るしかない大傑作。
yukihiro084

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