人生の節目をピンポイントで捉えた、渾身のヒューマンドラマ。ヤクザ映画が苦手な人に、真っ先にお勧めしたいヤクザ映画です。
みどころ:
胸をうつオープニングの笑顔
瞬きもできないラストシーン
各個の体当たり演技
ショーケンの主題歌
わずか33年の集大成
暴力シーンはほぼゼロ
あらすじ:
新宿で羽振りが良いと言えば、三東会の竜二。頭脳と胆力を兼ね備えたやり手のヤクザ。
「金の無いヤクザはダメだ」がそのモットー。金が無ければ奪われる、衣も食も住も、家族も。だがそうしてのしあがった竜二は今、暴力で手に入れた札束を前に、言い様の無い不安を覚えていた。
いっそ、ヤクザをやめてみようか。堅気に戻って、家族のもとへ帰ろうか。果たしてそこに、俺の居場所があるだろうか。フッと、そんな考えが頭をよぎった…。
人生において変化の時は往々にして苦しく、選ぶべき正しい道は常に険しい。他者との比較は欲を生み、欲が幸せを奪わんとする社会で、毎日岐路に立つ現代人の“急所”に沁みる傑作。
ミニー・リパートンやデヴィッド・ボウイのように、死期を悟った人の遺作は時として神がかり的な魅力が備わりますね。