yukihiro084

ソーシャル・ネットワークのyukihiro084のレビュー・感想・評価

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
4.8
Facebookが生まれたのが2004年。
今からたった16年前のことだ。

僕がFacebookを始めたのは2011年。
始めるつもりはなかったが、
通っていた広告系の講座の
連絡網代わりに始めることになった。

僕が会社を始めたのが2012年。
ザッカーバーグに遅れること8年。
なんだ、たった8年先輩なだけじゃ
ないか。
それに僕はオタクでもないし、
彼女に(あんたはサイテーだ)と
言われた訳でもない。

本作を映画館で観たのが2011年。
Facebookを始める数ヶ月前、
息子が生まれてくる直前だ。

映画館で観た時も面白かったが、
やはり面白い。
2回目だといろいろ見えてくる。
オープニングから面白い。
一気に引き込まれる。
エリカとマークの会話から面白い。
この会話だけで、マークの
何かが欠落している感じとか、
性格の悪さとか、もっと言うと
サイテーな感じがすぐわかる。

得体の知れない天才を、
絶対友達がいなそうな変わり者を、
ジェシーが好演している。
ルーニー・マーラ、アンドリュー・
ガーフィールド、アーミー・ハマー、
ジャスティン・ティンバーレイク、
いやー豪華だよね。
アンドリュー演じるエドゥアルド
良かった。すごく良かったよ。

とにかくテンポがいい。
オープニングの会話から、
気付くと、女の子たちから
クズ野郎とマークは呼ばれていて、
気付くと、Facebookが
立ち上がっていて、
気付くと、女の子たちと
いい感じになって、
気付くと、訴訟を起こされている。

すごいリズム、テンポ、見せ方。
それを作っているのは、
脚本と音楽と編集、撮影もいい。
天才アーロン・ソーキンの脚本が
素晴らしい。ソーキンは、ジョブズを
描いた(スティーブ・ジョブズ)も
素晴らしかった。
本作で、アカデミー賞をはじめ、
多くの脚色賞受賞も納得だ。
とにかく場面場面がダレることがない。

そして、本作の音楽も魅力的だ。
トレンス・レズナーとアッティカス・
ロスの音楽がとても効果的だ。
基本、会話劇なのだが、
合間合間の例えば人物が走るシーン、
例えば人物が重要な発言をするシーンに
緩急がありリズムカルな音楽がかかる。
(ひらめき)に音楽があるとすれば、
こんな音楽なのかもしれない。
(残酷さ)に音楽があるとすれば
こんな音楽かもしれない。

前半の建国の地ボストン近郊の
ケンブリッジの街並みは
どのシーンも歴史を感じる。
積み重ねた時間や正しさを感じる。
後半に出てくるFacebookのオフィスが
とても薄っぺらくリアリティもない
作り物のように思える。前半の歴史的な
街並みや落ち着きのある音楽は、
I TやらSNSの作品を描いた作品とは
真逆にあるような世界のはずなのに。
印象深い対比だ。対比と言えば、

Facebookの輪は広がってゆくのに、
冒頭にフラれたエリカとの仲は
全く進展しない。友達は数ではない。
友達に申請も承認もいらない。
マークには取り巻きは増えるが、
大切な人は、1人また1人去ってゆく。

大学のくだらない行事に、
(クラブ)に入りたいがために
付き合わされるエリートのはずの
マークの親友、エドゥアルド。
大学という狭い世界。
これも格差なのだろう。
スクールカーストなのだろう。

クラブ。パーティ。エリート。
富裕層の親。モテたい。ヤリたい。
認められたい。馬鹿騒ぎ。
優劣。嫉妬。天才。その影。
また嫉妬。

マークは、『ごめんなさい』も
言えない。なんだよ、とこっちが
悲しくなる。億万長者なのに、
同情してしまう。いや同情ではない。
これは憐みだ。
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