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出来ごころの10000lyfhのレビュー・感想・評価

出来ごころ(1933年製作の映画)
3.0
戦前の東京で展開される、シングルファーザー喜八、同僚で隣人で友人の若い男性、若い女性の三角関係をテーマにした下町人情話。比較的単純なストーリーでしかもサイレントながら、退屈なモメントもなく 100分の映画に仕上がっているのが凄い。メインのストーリー以外にも、序章的な浪花節から、子供の看病、ラストの船上での歓談など、付帯的シーンの描き込みが丁寧ということだろう。主演 3人のキャスティングが素晴らしく、地のキャラが役にあっている。脛たたく目覚ましや子供の虐待まがいなど、現代では不適切な行為もあるが、そんな時代の記録として。小学生の息子の言う「人間の手の指はなぜ 5本?4本だと手袋の指が余るから」「海水はなぜ塩辛い?鮭がいるから」の逆接的ユーモアが記憶に残る。洗濯物のエスタブリッシュショットが小津らしくて嬉しい。松田春翠の活弁版で試聴したが、よく合っているクラシック室内楽風劇半(ピアノ、ストリングス、たまにブラス)は、活弁版製作の 1980年代につけられたようだ
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