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レクイエム・フォー・ドリームの10000lyfhのレビュー・感想・評価

3.0
NY 近郊のヘロイン中毒の青年、母、恋人、親友が経験する、四者四様の地獄。ドキュメンタリ的な人物たちへの距離感で、薬物の怖さーー健康被害、強度の幻覚、中毒、犯罪に巻き込まれること、治療の苦痛などーーを多角的にリアルに描く。説得力がありそして怖いので、これを観たらヘロインは絶対に手を出せなくなるだろう。教育や注意喚起目的にも効果的な映画だと思う。裏を返せば、人物の誰にも感情移入できず、映画体験としては微妙だった。脇役も含めキャスティングが完璧で、リアリティをブースト。アパート前に横並ぶ暇な老婦人たちなど、米社会でマージナライズされた人々の描写もさりげなくリアル。映像面では、ヘロイン注入シーンでの粉末や血管や瞳孔のクローズアップをファストペースでカッティング(同時期のガイリッチーも似た手法を多用)、パーティやダイエットでハイになっている時の、過剰な速回しによる時間経過表現などが、クリシェではあるが、印象に残る。前半で、画面の左右分割も多用されていた。音楽では、DAW ビートに乗りフィリップグラスまがいのミニマルな弦楽四重奏を奏でるクロノスクァルテット、適材適所感が半端ない
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