みきわめとおる

ポセイドン・アドベンチャーのみきわめとおるのレビュー・感想・評価

4.8
小学5年生の春休みに、父に『ポセイドンアドベンチャー』を観に連れて行ってもらった。
いや、本当はその日にチャップリンの『モダンタイムス』を観る予定だった。

当時父はゼネコンで道路や橋を作っており、土曜日も仕事で、夕方からベロンベロンになるまで酔い尽くして帰宅していた。

私が少年マガジンのチャップリン特集に衝撃を受けて、父に観に連れて行って!と懇願していたので、日曜日もまだ二日酔いの父は「モダンタイムス」はどこでやってるんや?
と聞くので、「北野シネマだよ」と答えた。

よし、わかった。梅田の一番デカい映画館やな!と言い、間違えて「北野劇場」の指定席を買って入った。
そこで絶賛大ヒット上映中だったのが、
「ポセイドンアドベンチャー」だった。

そしたら、それはそれで驚くほどに面白いではないか。

ジーンハックマン(神父)の、

『私達は神に頼らず自力でここまで来た!助けは願わない!だから邪魔するな!ほっとけ!何人生贄が欲しいんだ!何人殺したい!ベルを奪いエイカーズもリンダまでまだ不足か!なら私をやれ!(その必死な努力で、噴き出したスチームが止り)通れる行け!ロゴ!後を頼む!』

と言い、我が身を捧げて仲間を助ける姿に
小学生の私でも泣けた。

そんな中、父は爆睡。

そのあと、北野劇場の裏にある、小さな劇場「北野シネマ」でチャップリンの代表作にして、私の人生の最も大切な1本「モダンタイムス」と出会った。

なんて濃い1日だったんだろう。

この日、私は映画と恋に落ちた。