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わが命つきるとものメルのレビュー・感想・評価

わが命つきるとも(1966年製作の映画)
3.8
歴代の英国王の中で悪名高いヘンリー8世の再婚に最後まで同意しなかったトマス・モアの話。

妻との間に男児が生まれないのを理由にヘンリー8世は若い愛人のアン・ブーリンとの再婚を望んでいたが、当時の英国はカトリック教会で離婚が禁止されていた。

結局ヘンリーはカトリック教会から離脱してイングランド国教会を立ち上げアン・ブーリンと再婚した。

その辺りは「ブーリン家の姉妹」にも描かれているが、こちらは男性側でヘンリー8世の離婚に側近達がどう対応したかがメインとなっている。

自分の意に沿わない者は直ぐ処刑する王だったので周りの人達は何とか上手く立ち回ろうとする中、トマス・モアは最後まで自分の信念(信仰)を曲げなかった。
そして公職も辞任し平民となり王の再婚の話題から遠ざかっているにも拘らず「王の再婚に同意するか?」と側近が聞きに来る。
トマス・モアは沈黙を守ろうとするのだけれど、王の機嫌を取りたい側近の策略にはまってしまう。

信仰心が厚いのは理解できるけれど全ての人間が自分の信仰心に従って生きたとしたら…。
宗教戦争の難しさはそういう所に原因があるのではないか…と信仰心のあまり無い私は思ってしまった。

好色のヘンリー8世はロバート・ショウが演じ、今年の1月に亡くなったジョン・ハートが小賢しく計算高い男リッチを演じている。
出番は少ないけれどオーソン・ウエルズが貫禄たっぷりの演技を見せてくれている。

この作品では語られていないけれどヘンリー8世はアン・ブーリンとの再婚から死ぬまでの14年間に5人の女性と結婚をしている。
因みに死因は梅毒か?というからお見事!と言うしかない。
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