タカシサトウ

西鶴一代女のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

西鶴一代女(1952年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

[無常観]

 凄まじい無常観。

 田中絹代のお春が、御所に勤める程の境遇から、その時代の枷や運命に翻弄されながら、遊女に身を落とす。それでも、その境遇に身を任せながらも人間としての誇りは失わず、巡礼の旅に出かける所で幕を閉じる。

 このお春の運命をたどると、人生にはどんなことでも起こるのだと思えて来るし、自分の境遇や地位が、どんなに変わろうとも生きていくという極致に到達したようにも見える。

溝口健二も田中絹代も、スランプで評判を落としていた時に、この映画でヴェネチア映画祭で認められ、復活を成し遂げたという。この二人もこの映画を作り上げることによってある極致に到達したのだろう。(2018.12.16)