みそらしど

トゥルーマン・ショーのみそらしどのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジム・キャリーの出演作を、かなり久しぶりか初めてくらいに観たんだけど、表情豊か過ぎ。彼のコメディ的な表情の作り方や演技が、ストーリーの気持ち悪さや胸糞の悪さを緩和して観やすいものにしている一方で、際立たせている部分もあってすごいなと思った。
あと、関係ないけど宮野真守とお顔立ちが近い…。

自分以外の全てが作りもので、自分が自分の意思によってしたと思ってきた選択や決断も、全てそうなるように仕向けられてきたものではないかという事に気づいたら、私ならもっと絶望したり虚脱感に襲われたりしていそう。
TVショーの中で育て上げられたトゥルーマンの明るさや冒険心、また抑制の中で強まった外側の世界への想いが、結果的にはTVショーを終わらせてしまうほどの行動力や信念に繋がったのかなと思うとなんか皮肉(?)。

トゥルーマン本人の戸惑いや不安も観ていておもしろい部分だったけれど、彼の妻(役)や親友(役)など周囲の人の心情描写もとても興味深かった。特に親友マーロンは、長年をトゥルーマンと共に過ごしてきた訳で、単純に「役」として割り切れない部分があるから指示された台詞が上手く口から出なかったんだろうな。あれだけ近い距離感で20年以上を共にしてきて、「自分は君に絶対嘘をつかない」という嘘を吐くのは苦しそう。

キャストや番組制作スタッフの中には、番組の人道性に疑問を持って躊躇う人が複数いる中で、一貫してプロデューサーだけはエンタメとしてのショーをひたすら熱意を持って追求していた。しかし、彼が必死に30年かけて作り続けたTVショーも、ラスト(=トゥルーマンがスタジオから退場したこと)を迎えた途端、視聴者は次の番組探しにすぐさま気持ちが切り替わっていて、人の気持ちを惹きつけるエンタメを生み出す大変さと、人の気持ちの離れていきやすさと…とか色々考えて虚無感に襲われたし、プロデューサー側にも同情した。

この作品は、そこまで胸糞ってほどではないけど、こういう明るいディストピアみたいな雰囲気好き。