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夢の中へのRのレビュー・感想・評価

夢の中へ(2005年製作の映画)
3.6
映画とは、夢そのもののような表現形態だなぁと感じさせる、ある意味基本的、それでいて斬新で、途轍もないエネルギーを放出する傑作だった。田中哲司を主演に、豪華な出演陣を使っての、このマイナー感笑 田中哲司演じる3役、性病に悩むさえない俳優、現代日本を革命せむと闘うレジスタンス、そして、警察に尋問を受ける容疑者。どれが現実で、どれが夢で、何が妄想か、わからなくなり、それぞれの世界の登場人物が、他の世界では別物で、別の世界の人物が他の世界に入り込み、ごちゃ混ぜになり、入り組みまくって渾然一体となる、爽快なスピード感かつすさまじいパワー。「俺はいつから俺じゃないのか。そんなことは関係ない。二十代の頃無数にいた俺からチョイスしたこの状態は、俺が選択したんじゃない。金星人のせいだ!」という台詞と、井上陽水の名曲『夢の中へ』の「探し物はなんですか、見つけにくいものですか、カバンの中も、机の中も探したけれど 見つからないのに…」が、何度も繰り返され、この混沌とした映画のひとつの軸となり、その軸を中心に遊び心と即興と偶然性の面白さに満ちた、手持ちカメラによるヴィジョンがほとばしる。商業性にとらわれず、作り手の主観が大暴走しているので、相当好き嫌いが分かれそうな一方、見る人をめいっぱい楽しませてやろうという気概が全編に満ち溢れてて、あくまで娯楽性を重視しているスタンスが魅力的。ユーモアもふんだんに盛り込まれていて何度も声をあげて笑ってもた。あと、端々に思索のきらめきがこめられた台詞がすごくよかった!
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