しろくま

遥かなる山の呼び声のしろくまのレビュー・感想・評価

遥かなる山の呼び声(1980年製作の映画)
3.9
《風がうなりを立てている》
〝ひどく降って来たね〟ドンドンドンドン(ガラス戸を叩く音)。〝夜分にすいません。道に迷って困っています。牛小屋でも軒先でもいいですので、今晩一晩泊めてもらえませんか?〟

季節は春。北海道の道東の酪農地帯。一人息子の武志(吉岡秀隆)を育てながら、亡き夫が遺した小さな牧場をひとりで切り盛りしている風見民子(倍賞千恵子)。嵐の夜に突然やってきた男(高倉健)を不審に思いながらも物置小屋に泊める。男は、深夜の牛の出産を手伝い、翌朝、礼を言って立ち去ったが…。

夏のある日、男は再びやってきて雇ってほしいと懇願。民子はしぶしぶ雇うことにしたが、男の仕事ぶりは真面目で、民子の窮地を救ってくれたのをきっかけに…。

〝幸福の黄色いハンカチ〟の山田洋次監督と高倉健さん、倍賞千恵子さんがタッグを組んだ作品で、全く別設定だけどパラレルワールドのような同じ世界観の前日譚。黄色いハンカチもしっかり重要アイテムとして出てくるので見逃さないでね。

本作では息子役の吉岡秀隆くんが高倉健さんを憧れ慕っているところが微笑ましくていいね。そんな可愛い子役だった彼も今やロマンスグレーの素敵な俳優さん。正月放送の〝ボクらの時代〟で〝なんで役者を続けているんですか?〟の問いに〝高倉健さんの言葉だけど。いい役者って、それを問い続けていくことだろうなって。それを探す。そうすると人間ができあがっていく。それは「お芝居」じゃなくなる。いい役者であるためには、まずは「人ありき」なんだろうなというのは、健さんの言葉を聞いてそう思うし、生き様みたいなのを見ていて思うし〟って。後ろ姿で生き様を見せていた高倉健さんへのリスペクトに溢れる言葉で、役者としての行動指針なんだね。

列車でのシーンが印象的な本作。その後どうなったのか気になってたら…。最近NHKで、本作をリメイクしたドラマが全4話で放送され、3・4話がその後の話。ハッピーな展開になっていて、めでたしめでたし😊😊

視聴メモ:2023.11.03/165/図書館DVD
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