ほーりー

007 ロシアより愛をこめて/007 危機一発のほーりーのレビュー・感想・評価

4.6
「ゴールドフィンガー」のバカっぽさ(だけど後年の作品ほどギャグが寒くない!)も大好きなんだけど、こういう渋い作品もまた良い。まだこの頃はボンドもスパイしてます。

「ドクター・ノオ」のレビューの時も、のちのシリーズと比べてだいぶ異色と書いたけれど、第2作の「ロシアより愛をこめて」も異色な部類に入ると思う。

良くも悪くも007シリーズのイメージを固めてしまったのは第3作の「ゴールドフィンガー」という戦犯である(苦笑)。

金保管所を放射能汚染するとか、ダイヤモンドで地球を焼き尽くすとか、全人類を毒ガスで殺すとか、大体、ボンドの敵ってマンガみたいなスケールのデカイことをやりたがるのだが、本作品の宿敵スペクターの計画はさにあらず。

目的はボンド暗殺で、前作で殺された仲間ドクター・ノオの復讐という動機も大変にシンプル。

ソ連所有の暗号解読機と美しき情報部員タチアナを餌に、ボンドを東西陣営が激しく対立するイスタンブールに誘きだして亡き者にしようとする。

プーチンそっくりな形相のNo.5(表の顔はチェスの世界王者)が立案した複雑な暗殺計画は終盤までその全容が明かされないので、ストーリーに大きなうねりを感じた。

またキャラクターも個性的なメンツであるのがいい。

珍しい女の悪玉・No.3を演じたロッテ・レーニャ。この時すでに60才は超えているにも関わらず、眼光鋭く見るからに強敵(そして冷酷)という感じがする。

この映画を初めて観たときは、ロッテ・レーニャのことを全然知らなかったので、後々、近所の図書館でこの人の伝記を見つけた際は、「このおばあさん、そんなに有名な人だったの!!?」とそれは驚いたのなんの。

そしてボンドに力を貸すイスタンブールの情報員ペドロ・アルメンダリスも印象的。
桑マンさんみたいな風貌だけどメキシコを代表する大スター。

ボンドを狙う殺人マシンのグラントを演じたロバート・ショウも良かった(ボンドを「大将」呼ばわりするのが好き)けど、やっぱり忘れちゃいけないのがボンドガール・タチアナ役のダニエラ・ビアンキ。

今回久しぶりに観てまず思ったのが、ほんとローラに似ているということ。

昔観たときはかなり冷たい印象だったけど、再見すると、列車内でボンドに甘えるときの仕草や初めて西側に行くことにウキウキしているときの表情がとっても可愛い。

もみあげを鼻の下に引っ張って髭みたいにするシーンの無邪気さがとっても良かった。

アクションもケレン味は抑えているけど、オリエント急行内の死闘、ヘリコプターの襲撃、モーターボートの逃走劇など見所もたくさん!

■映画 DATA==========================
監督:テレンス・ヤング
脚本:リチャード・メイボーム
製作:ハリー・サルツマン/アルバート・R・ブロッコリ
音楽:ジョン・バリー
撮影:テッド・ムーア
公開:1963年10月10日(英)/1964年4月25日(日)
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