すずき

リービング・ラスベガスのすずきのレビュー・感想・評価

リービング・ラスベガス(1995年製作の映画)
3.4
重度のアル中で妻子に逃げられた脚本家のベンは、とうとう会社に解雇させられる。
ハリウッドを離れた彼はラスベガスへと辿り着く。
そこで4週間かけて財産の全てを使い切り、酒を飲みまくって死ぬ予定だった。
この地で娼婦として働くサラは、暴力的なヤクザの彼氏から逃げる当てもなく、身体を売って稼ぐ日々を過ごしていた。
ベンはサラと一晩を過ごすが、彼はサラを抱かずに話をするだけだった。
孤独な2人は惹かれ合い、サラはベンに一緒に暮らそうと提案する…

原作は、重度のアル中で映画化決定の2週間後自殺した、ジョン・オブライエンの自伝的作品。
酒で自殺しようとする男と、そんな彼の生き様(死に様?)に惚れてそれを止めない女の痛々しいラブストーリー。
主演はニコラス・ケイジで、やはり彼はダメ男をやらせるとよく似合う。
「ヒーローとなって恋人を助け出す」や「頑張って努力して成功を収める」でもなく、「自堕落に過ごしても全肯定してくれる彼女がいてくれて、そのまま消えたい」というダメな男の、ダメな理想を描いたような作品。

そんな身勝手な男を身勝手なままにさせる、男に都合のいい女サラは絶対に幸せになれない性質だ。
最終的に破滅か悲劇にしかならない恋なのは最初から分かってたけれど、それでも愛せずにはいられない。
結末はどうなろうとも、幸せだった一瞬の思い出さえ残れば、彼女はそれで良かったのだろう。
愚か者2人の自業自得のような顛末なので、感動こそしないけれど、彼女は哀れで寂しすぎるとは感じた。

今作はソフトに吹替が無かったので、字幕で鑑賞。
このやたらクセの強い字幕…間違いない、戸田奈津子だッ!
なっちはエンタメ志向の強いアクション大作だったらまだ良いんだけど、こういうドラマの字幕はマジでやめてくれ。
彼女は登場人物の感情の機敏を感じ取るセンスが壊滅的だ。
主人公が意味が分からない言葉を発してるのも、アル中なのか直訳・誤訳なのか判別つかないのも問題。
極め付けは、冒頭のハリウッドをクビになった主人公がこれからどうするか聞かれた時の返答。
「ラスベガスを出ようと思う」
あの、ここはハリウッドでラスベガスにこれから行くんですが……。あのさぁ……(呆れ)