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GANTZ: PERFECT ANSWERのsanbonのレビュー・感想・評価

GANTZ: PERFECT ANSWER(2011年製作の映画)
3.2
実写版GANTZの完結編となる第二部は、サブタイトル通りどの様な“完璧な答え”を提示してくれるのかと、意気揚々と劇場へ。


本作は、前回のおこりんぼう星人から5ヶ月後が舞台。

終始、原作とは全く違ったベクトルで、物語が展開していきます。

実写版GANTZは、前後編を静と動に分けて表現しているらしく、ねぎ星人戦では怯えるばかりで、無益に死人ばかりを、量産していくだけだったGANTZメンバーも、5ヶ月の実戦経験を経て、躊躇なく引き金を引ける程にまで成長。

前作に感じた焦れったさは、全くと言って良い程無くなり、星人との熾烈な戦いを存分に堪能させてくれる点は◎。


ただ、無謀にも大見得を切って冠された「PERFECT ANSAWER」というサブタイトル。

これに関しては、大いにいただけないと言わざるを得ませんでした。

GANTZとは?

星人の目的とは?

なぜ戦わなければならないのか?

この様な、根底に流れる大きな謎はもちろん。

千手観音や、黒服星人らが言っていた復讐について。

なぜ小島たえは、命を狙われなくてはいけなかったのか。

なぜ加藤が現れたのかの、詳しい説明。

などの、今作における重要な謎も、うやむやのまま上映終了。


「はて、完璧な答えはいずこに?」

と…考えた結果、僕なりの憶測に辿り着きました。

きっと、PERFECTANSWERとは、僕ら観客に対する言葉ではなく、玄野がGANTZに示した答えこそ、GANTZにとって完璧だったんじゃないのかと。

つまり、玄野ははじめから、ある選択をする様GANTZによって仕向けられ、戦わされていたのだと、僕は解釈する事にしました。

思惑通り、玄野は100点以上のまんてん(そんなんあったんかい。)を叩きだし、GANTZにとってのPERFECTなANSWERを示めす事になるのですが

その選択については、大いなるネタバレになってしまうので、ここでは言及しません。

でも、きっとその答えは、原作のファンである程驚きの度合いも高いと思います。

(だって、原作ではあんな展開になりようがないから。)


この映画は、その辺の誤解さえしなければ、それなりに楽しめるレベルではあります。

が、内容より何より最も気になった点があります。


それは、生死に対する判定の曖昧さです。


今回の敵である黒服星人は、再生能力を有しており、腕や足などを破壊されただけでは、すぐに再生して中々倒すことの出来ない、厄介な存在として登場します。

もちろん、刀を突き立てられただけでは、怯みもしません…と思いきや、次の敵は背中を一突きしただけで倒せたり、普通の拳銃で倒せたりと、設定が曖昧。


その他にも、こっちはGANTZ銃で数発撃ち込まれて生き延びたのに、あっちはたったの一発で即死だったり

こっちは、壮絶な死闘の果て、刀や銃でズタボロにされても生き延びたのに、あっちは腹を一突きされただけで助からなかったりと、その曖昧さは都合の良い方に容赦なく転がっていきます。


これは、観ている側の緊張感を削ぐ演出だったので、大きく減点。


そして、ラストをああしてしまった事で、なぜ戦わなければならないのか?という謎が、より一層深まってしまったので、そこも減点対象。


無理のあるハッピーエンドは、ある人物に対する絶望を、助長させる演出だったのか?

そんな終わり方だったけど、全体を通して見れば、そんなに悪い印象では無かったよ。
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