Rena

ローラーとバイオリンのRenaのレビュー・感想・評価

ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)
4.2
オープニングが流れた時に雰囲気が似ているなぁ...と感じたのですが、やはりそうだったのですね。タルコフスキー監督が、アルベール・ラモリス監督の『 赤い風船 』をモチーフに描いた作品です。なんと、大学の卒業制作とのこと。

鏡の使い方にはっとさせられ
ところどころで出てくる "水たまり" も印象的

タルコフスキー監督の作品を観たのは今回が初めてだったので残念ながら他の作品と比較することは出来ませんが、これからいろいろな作品を鑑賞し、原点はここにあるんだなぁ...と感じていきたいです。

個人的に少年とおじいちゃんの友情物に弱く好きな展開の一つなのですが、「 労働と芸術 」・「 年齢や階層 」 を越えて、少年と青年の心が通う様子もまた いいですね。

青年 セルゲイの眼差しが本当に印象的

少年を見守るような優しい瞳
尊敬の念を込めて見つめる瞳
そして、時に愛情ある厳しい瞳

労働を通して是非を諭し、正義や正々堂々と立ち向かう意義を説いていく。そんな人柄もとても素敵でした。

また、感受性が豊かでちょっと大人びた少年 サーシャ
青年の話しを素直に受け入れ、自分が今持っている芸術についてありったけの知識を披露するところがまた可愛らしい。

そして、なんといっても『 チャパーエフ 』
このくだりが最高に可愛く、ちょっと "こまっしゃくれた" ようなあの姿を目の前でされたら、一瞬で顔がほころんでしまいますね。そのあとの "わくわく" を隠せない行動も可愛すぎる!!

タイトルもストーリーも、とても好きな作品でした。時折観て、自分の中のいろいろなものを浄化したい。
大切にしたい作品です。
Rena

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