神の沈黙(不在)三部作の最後の作品。
抽象的表現や不気味なホテルや劇団が難解だったが、神の沈黙に関してはそういうことだろうといった感じで推測する形で納得がいった。
いがみ合う姉妹。しかし本当は互いに根底では愛されたいという思いがあるはずだ。
そんな2人に挟まれる、妹の息子の純粋な子供の目線。彼から冷静に見る姉妹の対照的な性格。彼らの緻密な心情描写にぐっとくる。
自堕落な生活をおくる派手な妹に対して、姉は翻訳者として真面目に生きる傍ら病気を患っている。
この2人は相反するように思えるが、実は鏡像関係なのではないだろうか。
だからこそ互いに憎み、それでいて愛している。
おそらく神の存在としてこの作品では位置するホテルの男。彼女たちと言葉が通じないため、結果的に彼は沈黙を保つのである。
ただ見守っているだけなのである。
異国の不気味なホテルで一人彷徨う少年。彼の母はそこにいない。神や保護者から放たれ不安そうな表情の子供も印象的である。
神に頼るのではなく、「精神」を強く保ち生きること。
決してベルイマンは神自体を否定してはいないが、ようはこういうことなのだろうか。