Cisaraghi

恋する惑星のCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

恋する惑星(1994年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

中国語題「重慶森林」、英語タイトル "Chungking Express"。

前座・金城クン、真打ちトニーレオンというゼータクな映画だった。弱冠二十歳でまだぺーぺーだった金城クンにとっては、トニーレオンの前座を務められただけで超ラッキーだろう。
 トニーレオン、しょぼくれた感じに味のある最近のトニーレオンと違って、若くてすごい色気。これは人気俳優になるよねー!という必殺の目力。飛行機の中でCAを口説き落とすくらい何でもなさそーだ。

パート1は、フラれ続ける、まだ初々しいイケメン金城クンがカワイイ。ブリジットリンさん、ブロンドの髪とサングラスとコートが似合ってて、重慶マンション同様、無国籍感が香港らしくてカッコイイ。

しかし、やはりパート2が圧倒的にいい。特に、カリフォルニアドリーミングが流れる場面はどこも大好き。サラダ、ウェーイ!のところサイコー。「夢中人」もいい。歌ってるの、フェイ・ウォンさん本人なのですね!歌上手い!というか、有名な歌手らしい。

ボーイッシュで色白で細身のフェイ・ウォンさんがとてもキレイで、着ている服がどれも似合っててカワイイ。
 キャラと行動は非常にアメリっぽい。不思議ちゃん、不法侵入、家の中のものを勝手にいじってイタズラする、お店のガラスを拭きながらトニーレオンを見ている、などなど、アメリにそっくりな部分だらけ。ジュネ監督、この作品に多大な影響を受けたと思われる。独自のアイディアを加えているが、スチュワーデスが出てくるのも似ている。
 でも、アメリが超内向的でメンヘラチックでガーリーなのに対し、フェイ・ウォンさんはもっとアッケラカン、さっぱりとしてるところがいい。

スタイリッシュな映像だけど、加工してる感や作り込んでる感じがあまりしなくて、香港の雑然・ゴチャゴチャとした街をそのまま映していながらスタイリッシュなので、人々の日々の暮らしがちゃんと映り込んでいるところが好きだ。
 アジアの街は混沌として人がぎっしりだが、生命に満ち溢れている。死んだように端正な英国貴族の館を舞台にした映画と前後して見たので、ヨーロッパとアジアの文化の違いが際立って見えた。

トニーレオンのトボケたモノローグもよかったが、オトーサンみたいな白ブリーフだけは勘弁してほしかったなー。時代ですかね。

Wikiの中文ページには、「重慶森林」,隱喻指城市的水泥森林、と書いてある。水泥森林とはコンクリートジャングルのことらしい。「重慶森林」という漢字の雰囲気はとてもいいが、「恋する惑星」という邦題も捨てがたい。

デニス・ブラウンの "Things in Life" 、ダイナ・ワシントンの "What a Difference a Day Made" など、他の音楽もどれもよかった。
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