エディ

人生、ここにあり!のエディのレビュー・感想・評価

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
1.7
精神病患者が社会で働くのを描くコメディタッチのヒューマンドラマで、一般的には感動系映画になるのだろうが、自分には全く合わなかった。
イタリアは精神病院を廃止し、患者は一般社会で働くようになっているようで、この映画は実話に基づいているようだ。しかし、主人公の急進さや傲慢さは観ていてあまりにも不愉快なので、面白おかしくする為に脚色しすぎているように感じてしまう。
あまりに急進的な言動や行動で組合から飛ばされて精神病院患者たちが働く組合のマネージャーになった男ネッロが物語りの主人公。社会で働くといっても単調作業をしている患者たちに対し、普通の人と同じ事をさせようとして寄木細工の工務店を始め奮闘をする。。。
これだけ見るととても感動的なストーリーになりそうだし、ストーリー的には笑って胸が熱くなってもいいはずなのにそうならなかった最大の理由は、主人公ネッロがあまりにも極端な思想の持ち主だからだ。映画スタッフが思想がかっているのかもしれないけど、このネッロは左翼思想で社会に不必要に攻撃的になっている。患者達の初仕事なのに、数日も監督不在にしたり、自身のガールフレンドに対する思いやりも全くないばかりか、彼女に、患者達が女を買いにいく自慢話をするような奴。こんなのが主人公なのでどうしても共感できなかった。
ネッロはそればかりでなく、婦女暴行の可能性のある患者や暴力事件を何度も犯した患者が服用している安定剤を減らしたりしたことで、事件が再発してしまうなど好き勝手放題。
精神病患者に単純作業ではなく、もっと意義のある仕事をさせようとするアイデアは素晴らしいけど、ネッロは患者に訓練もさせず準備もしないで受注を取りに行き顧客に迷惑をかけるので、社会を舐めているし患者への偏見を助長するような行為に思える。
また、精神病患者に対し有る程度配慮をする必要があるのは、一般の人にも危険が及ぶ可能性があるからなのに、それを組合で成功して社会を見返したいという自分の夢や都合だけでごり押ししたことで、一般人に被害や損害が出たり患者にも悲劇が襲う。
結局、自分のペースで患者達も巻き込むだけなので、感動もしないし笑えもしない。
主人公があまりにも苦手なのと患者に暴言を吐くなどイタリアの笑いと感覚のズレも感じたので、個人的には全く合わない映画だった。
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