しろくま

若さま侍捕物帖のしろくまのレビュー・感想・評価

若さま侍捕物帖(1960年製作の映画)
3.5
《あの若さまは、本当は北町奉行の与力か何かで…》
〝あら、そんなのは嫌だわ〟〝じゃあ、一体どこの誰だって言うんだい?〟〝分かんないわ。でもその方がいいじゃない。私たちの若さまで〟〝それもそうだね〟

素性を全く明かさない呑んべえな若さまが、船宿の2階座敷でごろごろしながら持ち込まれる難事件を解決していくミステリー時代劇シリーズ〝若さま侍捕物帖〟。他の作品には〝地獄の皿屋敷〟〝深夜の死美人〟〝鮮血の人魚〟といった副題がついているけど、本作には副題がついていないので、てっきり第1弾かと思ったら、第8弾だって。副題を思いつかなかったのか、本作を代表作と思ってあえてつけなかったのか、どっちか分からないけど、本作の監督佐々木康さんとは、その後の〝銭形平次〟シリーズでもダッグを組む長い付き合いに…。

それにしても本シリーズの副題って、江戸川乱歩や横溝正史の作品のようなおどろおどろさが…。本作も奇っ怪な連続殺人事件に端を発し…。その事件とは、御用商酒問屋伊勢屋の清酒でお毒味役が命を失い、見廻り役もまた何者かの手によって暗殺され、伊勢屋はお取り潰しの憂き目に。その真相を探るうちに若さまは…。

謎解きが面白いのもあるけど、若さま役の大川橋蔵さんが爽やかイケメンでかっこいい、粋でいなせな若さまのイメージにピッタリ。流れるような剣裁きも見どころ。最初の頃は年間に3作品のペースで作られていて全10作品もある人気シリーズっていうのも納得の面白さ。〝血迷った狼どもが相手ならば若さまの剣も鬼の刃になって応える。そのつもりでかかってこい〟って台詞も痺れる。これって毎回言ってる決め台詞?

視聴メモ:2023.12.17/183/東映時代劇Youtube
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