Shintaro

ドイツ零年のShintaroのレビュー・感想・評価

ドイツ零年(1948年製作の映画)
3.9
エゲツないわ…

『禁じられた遊び』での後味と比べたら余韻なんてありません、”残酷”です正に。

相当監督自身の体験が尾を引いてるんでしょう。少年が体験する胸糞悪い出来事の数々、
父は瀕死 姉は体を張り稼ぎ 兄貴と言えば戦犯にされるのを恐れ食う寝るの毎日。
アパートの家主は”そう、俺は鬼さ!”と言わんばかりのクズ野郎、昔の恩師に助けを乞うがなんかベタベタ体を触り 闇商売を手伝わせる変態ナチ野郎。
健気にその恩師の言葉を聞いて、少年なりに生き残るための決心をするが その純真さは見事に踏みにじられる…。
少年は父を見送った後最後に残された選択をする。
こんなハードな脚本をそのまま描いてるようで驚くんですが、見事なんですね。
殆ど現場でぶっつけ撮りする様な監督らしいですが、もう画と台詞は固まってたのでしょうか、とてもシャープです。セリフの一つ一つ出来事のタイミングなど、少年が辿る運命のどうしようもなさが巧みに描かれていますね。
暗い暗い映画ですが、少年やその時代が微かな救いを必死で求めていた事を垣間見て、ふと”生きる”意味を考えてしまいます。
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