こたつむり

ディアボロス 悪魔の扉のこたつむりのレビュー・感想・評価

ディアボロス 悪魔の扉(1997年製作の映画)
3.5
♪ 貴方の夢に あなたのその儚い
  乾杯しましょう ほら 天使が泣いている

タイパを上げるために映画を倍速で観る。
そんな鑑賞方法を耳にしたことがありますが、映画にタイパを期待するのは筋違い。音楽と同じで、構造の中に時間を包有していますからね。一定の時間を費やすのは仕方がないんです。

それがイヤなら本を読めば良い話。
同じ時間で濃密な物語を味わえることでしょう。
勿論、一定の読解力と想像力が必要ですけどね(映画も読解力と想像力は必要です)。

さて、本作の感想ですけれども。
タイパが悪いんですよ…って「先に書いたことと矛盾しとるやんけ」と怒られそうな気もしますが、ずり落ちそうなメガネを直して気を静めてください。

要は、長いんです。
間延びしているとか、テンポが悪いとか、そういう話ではないんですが、鑑賞し終えた後に「え。この話、もっと短くできたんじゃないの?」なんて思うほどに“あっさり”とした後味だったんです。

でも、つまらないわけじゃないんです。
脚本は悪くないし、演出も頑張っているし(とは言え20年前の作品なんで古臭い部分はありますが)役者さんの持ち味も引き出しているんで、楽しめるのは間違いないんです。

それにムフフな場面もありますからね。
これぞ真の無修正!と思わず感涙したくなる…あ、いや、僕はしませんけども…まあ、お宝ハンターは喜ぶんじゃないかなあ、という話なんですけども、サービス精神も旺盛なんです。

だから、もう少し知名度が高くても良いんですが…それを損なわせているのが、やはり、上映時間が長めなこと。あと10分でも短くしていれば名作と呼ばれたに違いありません。

仕上げたのはテイラー・ハックフォード監督。
そういえば『ブラッド・イン ブラッド・アウト』も長かったですからねえ(面白かったですけど)。そういう作風だと思って割り切るしかないんでしょうね。

まあ、そんなわけで。
「連戦連勝の弁護士がニューヨークに行ったら、さあ大変!」的な物語。タイトルでネタバレしてますが、どのように捉えるかは観客次第。日本人の視点で観ると宗教批判として楽しめるかも。というか、神様とか天使ってロクなもんじゃないですよね。うけけ。
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