サム

KILL YOUR IDOLS キル・ユア・アイドルズのサムのネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

70年代後半の「ポストパンク」や「ノーウェーブ」の流れをNYアンダーグラウンドシーンから捉え、発表当時の2004年まで結んで行く音楽ドキュメンタリ。71分の内容にして、制作費は3万円らしい。どゆこと?笑。ドキュメンタリなのでネタバレも何もないとは思いつつ、一応隠しておく。

キャスト(インタビュー回答者)はスーサイド、DNA、ソニックユースにスワンズ、アートリンゼイ、飛んでヤーヤーヤーズなどと、この映画以外Filmarksには載らんだろう名前が続く。開幕30分はレジェンド達当時を語るという趣で興味深かったが、時代を2000年代にもってきた後は…かなり微妙。カットアップで進むので彼らが実際どういう文脈で発言しているのか掴みきれないが、皆中々好き勝手言っている。特に80年代NYシーンでのみ生きたバンドマンが今のシーンにアレコレ言うところは頷かされたりそれは違うしょと思ったり…。監督も映画自体をまとめようとはしないし、ざっくばらんに取り上げた後は「明日はどっちだ」と投げ捨てる感じは好きになれない。

内容にも疑問符が多い。まずタイトルが謎だった。実際酷いもんだったぜということもなく伝説は伝説のまま映されている(強いて言うなら現代バンドが少しと、ストロークスが割とで貶されてるくらい苦笑)。ほかにも、アンダーグラウンド(あるいはポストパンク)じゃないというコトなのだろう、90sは見事完全スルーされているが、その時だってアングラ系は息をしてたはずだ。ここだけ存在を抹消するのはドキュメンタリとしてどうなんだろう…。発言シーンが多めだが、ポストパンクのあのエネルギーは言語化を超えた所にあるんだと思うし、もっとこの貴重な当時のライブ映像を流す方が伝わるものがあるんじゃないかとも。正直なところ映画としては2.6位に感じた。

ただ当時の映像が貴重すぎるのと、特典映像にあるライブ集は、これだけで本編に足る説得力があるものだった。編集の少ないインタビュー集など、特典映像の充実ぶりを見て、借りて良かったと思えた。


最後にソニックユースファンとして伝えたいのは、特典映像に1988年のcandleのライブが宅録音質ながら収められてること(カッコ良いです)。あと特典映像のインタビューでリーがバンドが長く続いたことに関して発言する場面はファン必見。
サム

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