サム

ティム・バートンのコープスブライドのサムのレビュー・感想・評価

3.6
アニメーション史に一つその名を残した「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」に続くティム・バートン(今回は監督)のストップ・モーション・アニメ映画。キャストは「鉄壁の」というよりは「毎度ながら」のデップとヘレナボナムカーター。…まぁ仲よきことかな。ほかも声優陣はすごい。ヘンテコキャラを楽しんで演じてます(特典映像の微笑ましさ!)。

ナイトメア〜は不気味で陽気怪奇なハロウィンの国から渾身のミュージカル(音楽、動き、演出とも名劇)が華々しくオープニングを飾っていたが、今作のオープニングの舞台はさながら死に体・陰気辛気な現実世界。単調すぎる生者の動きは一気に気分を盛り下げる(それが良い)。歌いだされるも成金と没落貴族の欲丸出しのシケすぎた政略結婚歌…というクソみたいなスタート。だけどゲス大人の輪の中で、若者2人は出会い方こそ不本意なれどいい雰囲気に。そんなところで主人公がひょんなことから死者の世界に入ってしまい、物語は始まる。

死者の国での一発目のアニメーションと音楽は本領発揮に最高で、ココだけで見る価値が十二分にあると思う。こんな弾けたシーンをもっと見たかった…。死者の国と現世の対比やかけあいは笑う。ピアノで心を通わせるシーンもロマンに満ちてる。全体的には暗め地味め、特に中盤は盛り上がりに欠ける気がするが(大体現世のせい)味の詰まった良い映画。76分なのも素晴らしいです。

「チャーリー」とセットで見ると、ダニー・エルフマンの懐を思う。あとピアノ弾ける男になりたくなる…
サム

サム