サム

エド・ウッドのサムのレビュー・感想・評価

エド・ウッド(1994年製作の映画)
3.7
ビートルジュース→バットマンシリーズ→シザーハンズ→ナイトメア略とノリにノっていたティム・バートンが撮った、映画史上最低の監督と言われたエドウッドを題材にしたモノクロ映画。題材もあってか初めて制作費を大きく割ってしまったものの、作品自体は様々な賞を獲得した。

まず題材がとても面白い。明らかにおかしいシーンすら何も気にせずエドがOKを連発してく様はツッコミすら追いつかないし、実際の映画を見ると本当にこの映画通りに(再現率が本当にヤバくて、バートンの偏愛がうかがえる)放送事故ものの映画になってるから笑う。これに制作費がつき、上映されたのは何かの間違いなのではと思うほど。

自分の映画の明らかな矛盾などはスルーするくせに、他人に口出しされると怒るエドは面倒くさすぎる笑。更に女装癖をもち、自分の映画を完成させるためなら割と人として最低な行動もついとっちゃう彼だけども、ひたすら自身の映画制作に突き進む姿もあってか何故か憎めない。このあたりの愛すべき変人描写感、そして劇中数少なきマトモなヒロインが「お前らみんな頭おかしいよ!」とちゃんと現実に引き戻して一度突き放すところまでがバートン節。

普通の映画なら最後には監督としてブレイクしそうなものだが、ネタバレも何もなくエドウッドである以上そんな展開には起こり得ない。…が、その後味はかなり清々しい。実際の作品の評判やアフターライフを調べると「ダメじゃん!」となるのだが苦笑。

彼は自分の映画を本当に楽しそうに見つめ続ける。没入し、「最高だ」と呟く。ラストシーンあたりがすごく好きだ。助演男優賞を獲得したマーティン・ランドーとジョニーデップのコンビも素晴らしかったです。
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