コカイン中毒が進行したホームズが、ワトソン君の助言に従い、ウィーンのフロイト博士に会いに行く話。
ホームズは被害妄想に怯え、たんなる小心者の数字教師に過ぎないモリアーティ教授を「犯罪界のナポレオン」だと信じ込んでいる、という設定。フロイトの治療によって、ホームズの幼少期のトラウマが明らかになるのだが…。
たんなるパロディではなく、ヨーロッパを舞台にした逃避行とか、列車の屋根の上でのフェンシング対決とか、往年の探偵もののエッセンスをうまく取り入れて、フィクションと実在の人物がうまく絡み合った、面白いパスティーシュ(贋作)になっている。