ミッキン

未知への飛行のミッキンのレビュー・感想・評価

未知への飛行(1964年製作の映画)
4.2
高いスコアをつけといて何だが、冷静に考えると馬鹿げた話である。
声を真似する可能性があるから大統領の命令も聞けない…? 百歩譲ってそうだとしても不測の事態に備えて第二、第三の解除手段を用意してないのはおかしいだろう。

大統領もなぜ自国に水爆を落とす必要があった? 誤ってモスクワを消滅させたにしてもその代償を償う必要など全くないではないか。

と、まぁツッコミどころはあるけれどもシドニー・ルメット監督の手腕は流石としか言いようがない。荒唐無稽なストーリーも緊迫感ある110分に纏めてみせたのだから。
『十二人の怒れる男』で展開した会話劇の面白さはここでも健在。
姿を見せないソ連の議長も、通訳を介してさそ話し合っているかのように仕立てあげた。
国防省内のやりとりもよかった。あの場では何が正義で、何を信じればいいかなんて分からない。そんな重苦しい空気が凄く伝わってきた。
苦悩しながらも任務を全うする将軍がよかった。

大統領も最後の決断はアレだが、ヘンリー・フォンダの熱演で毅然とした交渉が素晴らしくみえた。
某国の総理大臣も見習って欲しいものである。最近ミサイル飛ばしまくっている彼国に対してさ。

冒頭に出てくる悪夢に魘されてたおじさん、重要な役だと思ってはいたがトリガー引く役だったのね。
罪なき牛を殺しちゃう闘牛士。
「仕事辞めたい」って嘆いて嫁さんに今日は休んだら、と言われてたあのシーン。最後まで観終わってから思い出すと相当深い。