もるがな

卒業のもるがなのレビュー・感想・評価

卒業(1967年製作の映画)
4.7
若気の至りと自業自得な映画ではあるのだが、それとは別の、どこか茫洋とした不安感が漂っている。

あまりに有名なのでネタバレは省くが、この映画で一番有名なのは教会の式場乱入のクライマックスシーンだろう。ただこの映画の肝はむしろその後にあって、最後のバスのシーンと合わせてワンセットになっている。無数の老人、幸せの絶頂にあった二人からだんだんと笑顔が消えていく様は、味のなくなったガムを飲み込んでしまったような虚無感に近い。まさに青春と若さ故の全能感に対する代償がきちんと支払われているのが素晴らしいんですよ。バックに流れるサイモン&ガーファンクルのサウンド・オブ・サイレンスがまた物悲しく、何とも言えない気分になる。根ざした幻想はまだ沈黙の音の中に……。
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