もるがな

ブラックアダムのもるがなのレビュー・感想・評価

ブラックアダム(2022年製作の映画)
4.0
近年見たヒーロー映画の中でトップクラスに面白かった。社会派要素は必要ではあるものの、やはりそれに縛られすぎているのは鈍重に感じる中で、シンプルなストーリーテリングとぶっ飛んだアクションに振り切った本作はかなりのカタルシスを感じた。やはり超パワーでブン殴られた常人がブッ飛ばされて空の彼方に消えていくのはとても癒される。刃牙の範馬勇次郎の一挙手一投足が大好きな人間向けの映画。

アクションシーンは流石にMCUのほうがケレン味もアイディアも上ではあるものの、本作のチープかつダイナミックなアクションもまた面白く、これで足りない栄養を補給できたのも事実である。喩えるなら高級料亭の懐石を食べてその量の少なさに辟易としていたところに、夜食で鬼カロリーの丼モノを一気に頬張ったような満足感とでもいうか……とにかく血糖値の上がり具合で冒頭からキマってしまった感じがある。

それぐらい序盤の登場シーン&無双の爽快感が素晴らしく、そのままのテンションで他のヒーローも出てきたあたりの興奮が個人的にはピーク。特にピアース・ブロスナン演じるドクター・フェイトの存在感はロック様にも勝るとも劣らず、あの五代目ボンドがおじいちゃん役をやっても違和感のないことに時の流れの早さを感じつつも、全体的に大味な本作の中でこれが初出とは思えない、地に足のついた老練のヒーローをしっかり演じ切れていたように思う。

難点は盛り上がりのためとは分かりつつも、かなり強引にヒーローの復活をやった感じがあり、やや長尺に感じた点と、今作のヴィランの存在感がなかったことぐらい。敵役にインパクトがないと個人的には点が低くなるものの、それを補ってあまりある強者による雑魚無双が見れたので個人的には満足です。
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