明らかに当時の「スターウォーズ」ブームの影響を受けた作品。全シリーズでボンドが宇宙に行ったのは今のところ本作だけ。
2時間の間に①カリフォルニア→②ベニス→③リオ→④アマゾン→⑤宇宙、と行く先が目まぐるしく変わり、もはや⑤のパートに至ってはこれが007シリーズだということを一瞬忘れてしまう。
ロジャー・ムーア版ボンドはとにかく「軽快」の一言に尽き、このお洒落さが大衆に長いこと支持されるボンド像なんだと感じさせられる。どんなトラブルでもジョークを忘れず、非常に好色なこのボンドはダニエル版とは違う味がある。
脚本はリアリズム無視な偉大なるマンネリズムだけど、スパイ映画はこれくらい荒唐無稽な方が夢があっていい。
ただ、本人も言ってるけどロジャー・ムーアは運動音痴らしく、そのためか格闘シーンに迫力が全然ないのは興ざめしてしまう。あと、謎に登場する向井千秋の旦那さんみたいな日本人の敵はなんなんだろう。
CGを一切使ってない冒頭のスカイダイビング格闘のシーンは今観ても凄いけどね。あと、殺し屋なんだけど憎めないジョーズが好き。