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グリードのkのレビュー・感想・評価

グリード(1924年製作の映画)
3.9
呪われた映画監督、エリッヒ・フォン・シュトロハイム。一切の妥協がない完璧主義者であるがゆえに若くして映画監督の道を絶たれた悲劇の人。今作もそのシュトロハイムのこだわりが詰まった一作です。軽く触れると、本編の時間は元々9時間に及んだそうで、現在の出回っている本編は2時間に無理やり編集をしたバージョンらしいです。ラストシーンの砂漠のシーンも、実際のデスヴァレーで撮影が行われたらしく、地球上で最も危険な場所とも言われる「死の谷」だけあって死人も出たそうです。

さて今作、描かれているのは人間の欲、そして愛の破滅ですね。シナリオとしての破滅までの描かれ方は若干のはしょりはあるものの、比較的丁寧で納得のいく流れだったとは思います。で、驚きだったのが、人物描写の丁寧さですよ。マックとトリナの前半と後半のキャラクターがまるで違うんですが、役者さんの演技力含めそこまでが非常に違和感なく進んでいます。この時代の撮影手順は分かりませんが、順撮りのような良さが出ています。あと、この時代にっていうと失礼かもしれませんが、意外に照明の効果まで計算されていてこれも驚きでした。現代においてはベタですが、人物に恐怖を演出するあおりでのライトの当てかた、影の作り方、がしっかりしていましたね。少し見くびっていたかもしれません。
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