唯

ブロークバック・マウンテンの唯のレビュー・感想・評価

5.0
人を愛することが 、男同士だからというだけで、 恥ずべき感情・不道徳的な行為と一蹴されてしまうことが哀しい。
結婚や子供を求めない同性間の関係は、とても純なものなのに。
許されない恋には、「それでも貫きたい」という強靭な一途さと真っ直ぐさとが在る。
互いが互いをたまらなく欲しているのに手に入らないなんて、これ以上に哀しいことが在るだろうか。
それがどんなものであれ、人を愛することが責め立てられるなんて、絶対にあってはならないし、それこそが倫理に反するというのに。

うっきうきに再会を待ち侘びる、というか待ち切れない二人が可愛い。
涙が出る程に、彼らの衝動が綺麗で、淋しい。

死して初めて一緒になれたという結びは高尚で崇高な様だし、やはりこれ以外には結末を考えられないと思う。
二人の間がどうか壊れない様に、結ばれて欲しいというよりも報われて欲しいとの想いで見進めていたので、うん、切な過ぎるのだが、映画としては満点だよね。

人間とは、人肌の温もりを求める生き物だし、それを感じていないと生きていられない。
そう考えれば、二人きりでの山籠もり生活での恋の芽生え(初めはもっと肉欲的なそれだけだったのだろうが。)はごく自然なものに感じられる。
窮屈で鬱屈した家庭での描写と、自由と開放とに充ち溢れたブロークバックマウンテン(二人にとっては、こちらがホーム)の対比が激しくて切ない。

ミシェルウィリアムズは、相変わらずの薄幸感。

20年間も、互いに互いだけを想い合える恋なんて、それだけで美しい。
非常に映画らしい映画で、毛布に包んで大切に抱え続けたい一作。大好きです。
唯