海

シンプルメンの海のレビュー・感想・評価

シンプルメン(1992年製作の映画)
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わたしは人生でたくさん言葉を書いたから、わたしの部屋は、きっとよく燃えるんだろう。遠くへ行かなければいけないときかならず持って出る本や、どこにいてもわたしを抱きしめにきてくれる映画、一歩ずつ確かに歩いたことをおぼえているたくさんのたくさんの海岸、わたしを見ていてくれて、わたしを光のもとへ連れ出してくれるひと、胸に手をあてるだけで、その手からゆっくりと力を逃がすだけで、今夜風を感じる。わたしの頬にふれるこの風は、どこからきて、なにをわたしに聞いているんだろう。このごろ、わたしは、寂しいときが多い。あなたはどうかな。何もかも嫌になるとき、思い出してほしい言葉がある、聞いてほしい音楽がある、ふれてほしいいのちがある、そのぜんぶがあなたに届かなくても生きていてほしい。書けない日は歌おう、笑えない日は踊ろう、泣けない日は眠ろう、悲しい日はだきしめさせて、いつかぜんぶ大丈夫になるときまで手をつないで遠くまで走ろう、どんな暗やみからもあなたを守れるのがかみさまだけなら、わたしはかみさまになりたい
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