たかこ

夢売るふたりのたかこのネタバレレビュー・内容・結末

夢売るふたり(2012年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

冒頭。浮気して朝帰りするカップル。
玲子とバイバイしたあとに事故が起きる。たぶんICUかなんかで面会謝絶状態。玲子に彼の弟が300万渡す。
この場合、ただの手切れ金じゃなくて、
これは彼の遺産だと思う。せめてもの気持ちだったと思う。弟としては、騒がないでねという口止めの意味もあったかもだけど。浮気なんだから表に出られないのは当然。

火事で店が燃えた。
あのとき、貫也は焼き鳥やいてて、注文入って、里子に声かけようとしたのよね。忙しそうだったから自分でやって、焼き鳥から目を離してしまった。
自分で消火しようと水かけたり、エプロンであおいだりしてた。店に対する想いの大きさがわかる気がした。最後には包丁だけ持ち出した。
里子も、そんな夫を助け出そうとしてた。里子にとったら店より夫だった。
この時までは、2人はごく普通の、真面目に仕事して生きてる夫婦だった。

生きていかなくちゃならないもの。里子はラーメン屋で働く。
貫也は、店を失った諦めがつかず、料理や食材に対するプライドがあって、どうしても妥協できない。
燃えた店の前で缶ビールを飲む。
里子は貫也を支えて、いつかまた店を持とうと思ってた。健気に頑張ってた。

常連客だった玲子と貫也が出会う。
一夜を共に過ごし玲子は300万を渡す。
貫也は夜明けの街を走る走る。里子のもとへ。300万を握りしめて。
里子と貫也の価値観のズレがあった。
貫也は、なによりも店だと思った。
里子は、店よりお金より貫也だった。
浮気したことが許せなかった。
札束に火をつける里子。ここで里子の心がキレるんだね。風呂場で濡れた紙幣を並べ数えながら。。。。。

料亭に2人で勤めて、女性客の咲月に近づき、相手が自主的にお金を出すように誘導する貫也。シナリオは里子が書いてた。何人もの客が貫也にお金を出した。ちゃんと借用書を書き、部屋の壁にまるでトロフィーのように貼り付ける。それは戦利品。いつか返そうと思っている。
元々貫也は女性に優しかったから、この詐欺はうまくいった。

でも、夫が他の女と過ごしているのに
平気でいられるはずなんかなく、
里子はどんどん病んでいく。
「女」の表現がすごい。ナプキンをショーツに貼り付けて履くシーンとか。。

最初は、金持ちの女性客だったのが、
風俗嬢や婚活パーティーで出会ったリフティング選手にも手を出していく。
お金なんかないのに、余裕なんかないのに、必死に生きてるのに、そんな普通の人からもお金を出させようとする。
しかも、この頃には「妹の里子が病気」という設定になっていて、完全に詐欺。
選手のひとみが、のし袋に御見舞を包んできたシーン。これが普通の感覚。
ここで、もうやめようってできたはず。
なのに2人はやめなかった。

悪い男から逃げてきたはずの風俗嬢。
ためてきたお金を貫也に渡そうとする。
いつもこうしてきたんでしょ、と貫也が言う。怪我をした選手。自分の人生を見失ってる状態でも貫也にお金を渡す。
彼女たちはみんな「女」。なんでこうなるんだろう。側にいてくれて優しくしてくれた男は、お金より価値があるってことなのかな。。
みてて切ないんだけど。。

ラストで、ヤクザあがりの探偵(鶴瓶)
は、貫也を前にして後ろから刺されてるんだから、刺したのは貫也じゃないと知ってるはず。子供に刺されたとはかっこ悪くて言えなかったんだね。
貫也は、これでやめられると思ったかも。自分が刺したと警察に説明してた。

刑務所で調理担当をする貫也。
港で働く里子。お金を返してる。
里子は貫也の出所を待ってると思った。
里子は逃亡犯なのか、執行猶予ついたのか、わからないけど。
なんか、強いってよりも、働いてないと立ってられないみたいな感じがした。

エンドロールに香川照之ってあって、
えっ!!と驚いて、あの弟!!
あの冒頭の浮気相手!!って気付いた。
たかこ

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