Melko

ヘアーのMelkoのレビュー・感想・評価

ヘアー(1979年製作の映画)
3.7
「身内のパーティだ、君たちに関係ないだろう!」
「関係無くない!あいつはベトナムに行って戦うんだ!あんたみたいな人を守るために」

「父親が誰かは関係ないと思ってるの。子供が生まれてくることは誰でも嬉しいでしょう?」
「イカれてるわ」
「握手しましょう!」

ずっっと観たかった作品、午前10時の映画祭、楽しみにしていた!!
上映前・後で町山智浩氏の解説映像付き
作品のバックボーンへの理解が深まった。

舞台版は見たことない。
クロードとバーガー男2人のドラマに絞った映画版と違い、舞台版はもっと群像劇な感じで歌もたっぷり?
映画では尺の都合上カットされた曲も多々あるようで、終盤の展開も映画オリジナルなのだとか。

1969年が舞台の映画
うちの両親が小学生の頃だ
だが公開は1979年
様々な理由があることはわかりつつ、町山氏の言うように、
「当時を感じるには遅すぎて、ノスタルジーな気持ちで見るには早すぎた」中途半端な仕上がりになってる感があった

みなぎるエネルギー
とんでもない量のエキストラ(特に最後のホワイトハウス前)
うま過ぎるミュージックナンバー

映画の核を成すには申し分ない要素が詰まっている
だが何か心に響かない部分もあった
それは、私がこの作品を見るにはやはり世代がかけ離れているせいもあるのかもしれないし、
そもそも私の考え方/生き方として、ヒッピー文化に確固たる信念があるように思えない・彼らの生き方に心の底からは共感できない(フリーセックス、宗教心とか)
という致命的な点がベースにあるからなのかもなぁ、と思ったり。
ファッションや「音楽を愛する心」は好きだからこそ切ない。
それに、彼らが「愛と平和」を叫び続けて、血を流すことも厭わず社会現象を巻き起こしてくれたからこそ、「生き方は一つじゃない」と民衆が噛み締め生きて、今の多様な文化があるのだとも思うし。

フラワーチルドレン
って、すごく危うい存在だけど、私は好きなんだよなぁ

作品としては、機転を効かせまくって3200kmを爆走しクロードに会いに行くバーガー一行が痛快だし、
1人の女子を巡ってバチバチになってたクロードとバーガーは、数日間の仲とはいえ結局固い絆で結ばれてたんだな、と感じて、あの終盤の入れ替わり作戦ではうるっときたし、
とにかく演者一人一人の歌が爆発的に上手い
ってのも見ていて楽しい。

テーマ曲の♪Hairも良いけど、冒頭の♪Age of Aquarius♒️がやっぱり印象に残る。
町山氏は中盤ハッドの元婚約者がドアップになりながら歌い上げる恨み節の歌が必ず一番印象に残るはずと言ってたが、私はやっぱり「水瓶座の時代」。とんでもない歌唱力のあの女性は誰なんだろう?

てか!
クロード役のジョン・サヴェージって「ダークエンジェル」のライデッカーじゃん!とか
バーガー役のトリート・ウィリアムズって「ザ・グリード」のフィネガンじゃん!
とか、よーく知ってる俳優たちの超若い頃を見れて、なんだかお得な気持ち。

その戦いには、命を懸けるだけの価値があるか?
髪を伸ばすことは、かっこよさだけではない。権力や偏見、差別や圧力、全ての事柄への反抗なのだと。
なんだかんだいま腰まで髪の毛伸びてて、いつバッサリ切ろうかなとずっと考えてたけど、このままではいけない、今の世の中への反抗の気持ちとして、もう少し今のままでいようと思った。
Melko

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