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グッドフェローズのArxのレビュー・感想・評価

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
4.2
デニーロやレイ・リオッタの役は作中で説明されているように純イタリア系では無いためマフィアの幹部になれることはない。いくらデニーロが冷静沈着マフィアの役を演じていようが(かっこいいけど)、結局彼らは一生下働きする運命なのだ。頼みの綱であるジョー・ペシも自身の性格が災いとなり組織の中で消されてしまう。
本作はレイ・リオッタの一人称で話が進むわけだが、そう考えると激しい編集スタイルは彼のどこか小心者な性格を反映していると言えるし、例外的なロングテイクとして有名なレストランの裏口から入っていくショットも、自分の力を当時のガールフレンドに誇示する様であるが結局やってることは人気レストランの最前列を確保する程度のことである(笑)。

見てわかる通りこの映画に教訓めいたものは一切無いのだが、何回でも最後まで見てしまう魅力がある。スピーディーな編集と激しいカメラワークはエネルギッシュであるのだが、一方「タクシードライバー」や「レイジングブル」といったスコセッシの作品にあった力みの様なものが良い意味で感じられず、どこかユーモラスでリラックスした感じを受ける。まあ、リラックスというよりは皮肉といった方が近いかもしれない。"Goodfellas"は良い仲間という意味のマフィア用語らしい。今作のように口封じのため仲間を消しまくり自分もそれに怯えているマフィア用語としてここまで空疎に感じることはない。
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